本格的に撮る:サッカー試合の撮影ガイド

皆さん、こんにちは。mybeloved.cameraを訪問いただきありがとうございます。今回は撮影ガイド。それもサッカーの試合の撮影ガイドです。僕は旅写真の他に最も撮影機会が多いのが息子たちのサッカー試合の撮影です。もうここ何年も息子たちのチームの写真を非公認のチーム専属カメラマンとして撮影してきました。その経験から役立つであろうポイントを今回はシェアしていきたいと思います。

まず初めに、許可をとりましょう

僕は何年もサッカーの試合を撮影し、撮った写真を保護者と選手にシェアしてきましたが、問題になったことは一度もありません。誰からも文句を言われたことも難癖をつけられたこともありません。もちろん、僕が写真を商業目的で撮っていないことや、公共の場所で撮影していることが大きな理由であることは確かです。しかしながら、被写体となるのは未成年であることからも、注意する必要があります。そのため、シーズン前と試合前に必ずいくつかの許可をもらうようにしています。

サッカークラブからの許可

僕は今まで異なるサッカークラブに属する2チームの撮影をしてきました。どちらのクラブでも問題はなく、現在息子たちが属するクラブは僕が撮った写真をクラブのウェブサイトに利用しているほどです。しかしながら、未成年を対象としたクラブですから、その経営方針やルールなどに試合撮影について文言がある場合もあります。今年の7月に長男がイギリスでのサッカートレーニングに参加したのですが、そこではプロの写真家が隣のグランドで練習していたセミプロの選手を許可なしに撮影してクラブのマネージャーに怒鳴りつけられ、撮った写真の削除を求められていました。このプロの写真家は長男のチームのトレーニングのために雇われ、私有地と見なされるグランドでセミプロの選手を撮影したことから、僕が撮影する状況とは異なります。しかしながら、僕は後々文句をつけられることやトラブルになることを避けるためにも、必ずシーズン開始前にクラブには許可を得るようにしています。

保護者からの許可

僕は商業目的でサッカーの試合を撮影はしていません。また、ソーシャルメディアに写真を載せることもありません。そのため、米国内ではモデルリリースの必要はありません。しかしながら、選手たちはまだ未成年(8歳から17歳)。未成年の子供の写真を撮られることを嫌う保護者がいるのも事実で、僕はシーズン前に必ず保護者に写真を撮られたくない人がいるかを確認しています。保護者から聞かれる質問の殆どが、「試合後に写真をシェアしてくれるか」ということです。僕は通常は人物の撮影をすることを好みませんが、一生懸命走り回っている選手の姿を切り取り保護者にシェアできることが素直に楽しいと思えるので、喜んでシェアしています。一試合目の写真をシェアした後は、殆どの保護者と選手がいつも見る携帯で撮られた写真と僕の写真(Canon R5と100-500mm Lレンズ)の違いに驚くとともに感謝の言葉をくれます。

審判からの許可

クラブも保護者も問題なければ、なぜ審判の許可が必要なのか疑問に思う方もいるかもしれません。審判の許可は、写真を撮ることに対するものではなく、グランドの何処から写真を撮るかに対するものです。僕が撮影するスポットについては下記で具体的に説明しますが、審判によっては保護者は選手のベンチの反対側のサイドラインにいるべきだと感じる人もいるのが事実です。僕の経験上、サイドライン以外での撮影を拒否した審判は二人のみです。また、国によっても考え方が違うようです。イギリスでの試合では、親善試合であることからグランドからの撮影を許可されましたが、保護者はグランド内に入ることも禁じられていました。試合が始まってから審判に注意され試合を中断することがないように、事前に審判の許可を撮ることが良いでしょう。

撮影場所が違いを見せつける

僕の撮る写真が保護者と選手たちに喜ばれる理由の一つに、構図と撮影する角度があります。保護者の大半はグランドのサイドライン、試合を横から見る形で撮影していると思います。横からの写真は、最適な角度ではなく、撮影できる場面が限られます。試合での躍動感のあるアクションショットを撮るためには、グランドの周りのあらゆる場所から撮影する必要があります。僕は試合中に息子たちのチームの攻める方向や試合の展開から、いくつかの決まった場所に移って撮影するようにしています。

1. ゴールポストとコーナーの中間点。2. センターライン。3. 自軍のゴールラインから25ヤードほど。

ゴール横:ゴールポストとコーナーの中間点

上記の図に1で記載された場所が、僕が一番時間をかけるスポットです。ゴールポストとコーナーの中間点辺りで、ゴールキーパーやゴール前の選手、コーナーキックを蹴る選手の邪魔にならない場所です。僕がこのスポットを好む理由は二つあります。まず初めに、選手の顔が撮れることです。もちろん試合の写真ですから、プレイが重要なのは事実ですが、やはり保護者や選手は自分の顔が映った写真を好みます。もう一つの理由は、ゴールチャンスやコーナーキックの写真が撮りやすいことです。やはりサッカーのアクションショットはゴール前の得点チャンスのシーンではないでしょうか。このスポットからだと護りの写真が撮りづらいのではと思う方もいるかもしれません。確かに攻めの写真よりは撮りづらいのが事実ですが、焦点距離が長いレンズとクロップできる画素数があれば、ここからでもディフェンスのプレイを撮ることは可能です。

体を張って争うセンターフォワードとディフェンダー
ロングパスを受け取り、次の一手を考える右ウィング

センターライン

次の候補は2と記されたセンターラインの辺りです。正面からのアングルが好きなのは事実ですが、試合によっては護りに偏る展開があるのも事実です。そんな時は、センターライン辺りから自軍サイドのプレイを中心に撮影します。角度的には横からになる場合もありますが、ディフェンダーは相手をグランドのライン側に押しやろうとすることが多く、ディフェンダーの顔をしっかりと撮ることができます。

ボールをコントロールし前方へのパスを考える左サイドバック

25ヤード辺り

最後に良く使うスポットが自軍のゴールラインから25ヤード辺りです。このスポットは基本的にゴールキーパーを撮影するためのスポットです。サッカーの試合撮影の主な目的は自分の息子たちの写真であることは間違いありませんが、できるだけ選手全員を撮ろうとしています。試合後には現像・編集したを個々にではなく、グーグルドライブを通して保護者と選手にシェアするため誰の写真が多い・少ないなどで期待を裏切ることのないようできる限りの努力をしています。ゴールキーパーの前には敵・見方を含め何人もの選手がいることが多く、ゴールキーパーをメインにした写真を撮るのが難しいのが事実です。ここからの角度にはあまり良くはないのですが、他の選手にい邪魔されることなくゴールキーパーをメインとした構図が作りやすいと思います。

積極的に飛び出し、ゴールチャンスを潰すキーパー。

スポーツ向けのカメラ設定

通常、所謂カメラで撮影された写真はスマホを通して撮影するものよりも高画質のものだと思います。カメラはスマホよりもセンサーサイズも大きく、レンズのクオリティーも高いことから、より高画質の画を作り出せるはずです。また、シャッターボタンを押してから実際に写真が撮れるまでのラグが短いことから、意図したタイミングに近い写真も撮れます。ただ、他の設定を変えることでより良い写真が撮れるのも事実です。そのため、僕はスポーツ撮影ではマニュアルモードで撮影しています。

シャッタースピードが第一のカギ

素人が撮った多くのスポーツ写真の出来があまり良いとは言えないのは、シャッタースピードに問題があると僕は思っています。シャッタースピードが遅すぎるのです。使うレンズにもよるとは思いますが、通常であれば1/200, 1/250秒で撮影すれば手振れを心配することもなく、ブレることのない画ができると思います。風景写真によってはさらに遅いシャッタースピードでも問題はないでしょう。しかし、スポーツ写真、特に選手が速く動き回るスポーツにおいては選手の動きを止められるシャッタースピードでない限り、被写体がブレた写真になってしまいます。そのため、僕はシャッタースピードを11歳の次男のチームは1/500秒以下、15歳の長男のチームでは1/1000秒以下で撮ることを心がけています。これらのスピードであれば、ボールは多少ブレるかもしれませんが、選手の動きは止まっているように撮れるはずです。

被写体全体にフォーカスを当てる絞り

僕が写真を始めたころは、絞り開放・できるだけ絞りを開いて撮りたい欲望にかられていました。背景のボケ、特に光の丸ボケに心を惹かれていました。が、そんな画はスポーツ写真にはあまり向いていません。被写体である選手の顔(特に目)と四肢のすべてがフォーカスされているのが望ましいと思います。僕は現在フルフレームセンサーのCanon R5とRF100-500mm F4.5-7.1Lレンズ、またはCanon 5D IIIとEF 70-200 F4 IS USMで撮影しています。このコンビは被写界深度が浅い組み合わせだと思います。被写体全体にフォーカスするため、F5.6、または6.3で撮るようにしています(100-500mmは長い方でF7.1になりますが)。ここまで絞ることで、カメラが目にフォーカスしていても体全体もフォーカスされるようになっています。

カメラ任せのISO

マニュアルモードで撮っているというものの、ISOに関してはカメラ任せです。ISOの自動レンジを100-6400に設定して、あとはカメラ任せです。スポーツ写真はシャッターチャンスが頻繁に訪れるため、手動でISOを変えている暇はありません。上記のシャッタースピードと絞りですと、晴天でない限りISOの値は高くならざるを得ません。ISOは出来るだけ低めでと風景写真を撮る僕も思いますし、高ISO値を使うことに抵抗がある方もいると思います。その気持ちはよ~く分かります。初めてISO400のフィルムを現像したときのノイズ・グレインに驚いたのも事実ですし、最初に手にした一眼レフには1600以上のISOは存在しませんでした。ただ、ここが技術の進歩の凄いところです。ISO6400 で撮った写真でも十分に使えますし、大抵オンラインで閲覧する選手や保護者にとっては十分な画質の写真です。

試合時間や天候によってはISO6400では暗い画になってしまうこともあります。そんな時は、ISOの値を12800までにすることもありますが、暗すぎると撮影を諦めるようにしています。

動く被写体にフォーカストラッキング

スポーツ写真の最大の難点は、動き回る被写体にフォーカスを当てることです。サッカーの試合では、ポジションごとに動くエリアに違いはあるものの22人の選手たちがピッチを走り回ります。そんな環境で、意図する被写体にフォーカスを当て続けるのは至難の業です。業でした。ここも本当に技術の進歩の凄さが体感できるのですが、僕は顔+追尾優先AFを利用し、フォーカスを当てた選手の顔をカメラが自動で追尾してくれるようにしています。5D IIIで撮影していた際にはAF Servoを使っていましたが、やはりフォーカスが外れることも多々ありました。R5に移行してからフォーカスが外れることが激減しました。

高速連続撮影でシャッターチャンスを逃さない

スマホとは違いシャッターを押した直後に写真が撮れることから、シャッターチャンスを逃す率は低いかとは思いますが、最適なタイミングでシャッターを押せているかは疑問です。特に我武者羅になっている選手は目を瞑っていることも多々あります。そのため、高速連続撮影機能を利用することで、連続撮影し現像・編集時に最適だと思う画を選べるようにしています。5D IIIは6コマ/秒、R5は電子シャッター使用時で最大20コマ/秒での撮影が可能です。

R5使用時に僕はDual Pixel AFを使っているため、高速連続撮影が使えず低速連続撮影になります。高速だったら良かったと思うこともありますが、一秒のコマ数よりもフォーカスの精度を優先しています。

カメラ機材と周辺機器はどうするか

カメラ・写真が一番の趣味である僕は、確かに高い機材を使っていると思います。ただ、高い機材がスポーツ写真、特にアマチュア・子供のスポーツ写真に必要かというと決してそんなことはありません。最新の機材は、最新の技術を搭載していることから望ましいことは事実ですが、ここ15年ほどの間に発売された機材であれば十分な性能があると思います。僕も2012年に発売された5D IIIで2022年まで撮影していました。また、ここではカメラ・レンズ以外にも役立つものも紹介します。

フォーカストラッキング搭載カメラ

R5にアップグレードした理由のポストでも触れましたが、技術の進歩はすごく特に目や顔にフォーカスをあて追尾できる機能は本当に素晴らしく、この機能はスポーツ写真を撮るにおいて最も望ましいものだと思います。高機種に比べて性能に差はあるかもしれませんが、幸いこの機能は現時点(2023年8月時点)でミラーレスカメラであればエントリーモデルにも搭載されている機能です。これからカメラの購入を考えている方は、この機能は絶対に見逃せないものです。

何気ない表情やしぐさなど、動いている被写体の決定的瞬間を撮りたいときに、EOS R100は、最高約6.5コマ/秒(ワンショットAF時)の連続撮影を可能にし、動く被写体にサーボAFでピントを合わせている状態でも最高約3.5コマ/秒の連続撮影が行えます。見逃しがちな表情を写し止めるだけでなく、撮影後にベストショットを選ぶことができます。

お住いの地域によりますが、他に考慮する点は防滴防塵加工ですね。

レンズ:長さが全てではないものの200mmは欲しいところ

僕がサッカーの試合を撮影し始めたころ、長くても135mmまでしかありませんでした。まだまだ子供も小さかったものの、135mmでは全然足りないなと痛感し、70-200mmを購入しました。長男がフルサイズのピッチで試合をするようになり、特にサイドバックを主にプレイするようになってからは200mmでも足りないなと感じ、100-500mmを購入しました。長いレンズに大満足ですが、100-500mmはスポーツ写真や鳥・動物写真を主に撮ることがない限り使いまわしがあまり効くものではありません。主に自分の子供の写真だけを撮ることを考えると70-200mmで撮影する場所を工夫すれば十分だと思います。

Canon(キャノン)の最も短く一番軽い、F値(絞り値)4の交換式ズームレンズ(70~200 mm)。高画質で明るいF値(絞り値)4の望遠ズームRF Lレンズ。最大で5ストップの光学画像安定化機能による手振れ補正。

もし上記の70-200mmのレンズは高すぎる・やはりもっと長いレンズが欲しいと思う方は、Canon RF100-400mm F5.6-8 IS USMを考えても良いかもしれません。70-200mmに比べると絞りが小さく防滴防塵加工がされていないなどの点もありますが、それらの点が価格に表れています。

コンパクト、軽量、高画質RF望遠ズームレンズ、100 – 400 mmの汎用ズーム範囲。光学式手ぶれ補正装置、最大5.5ストップ。In-Body Image Stabilizerを搭載したEOS Rシリーズのカメラとペアリングすると、最大6ストップのブレ補正。最短焦点距離200mmで3フィート、最大倍率400mmで0.41倍。CanonのNano USMを搭載した高速、スムーズ、静かなオートフォーカス。

絶対必須:自立式の一脚

僕はフィールドで一脚を使って撮影している保護者を見ることは殆どありません。が、一脚なしで90分の試合を撮影するのは正直なところ肩・腕・手首には辛いです。特に長い・重いレンズを使っている場合は一脚なしでは無理です。一脚を使うことで、カメラとレンズを体で支えることなく撮影だけに集中できます。また、三脚ではなく一脚なのは、一脚の方が動きやすいからです。僕がお勧めするのは自立式一脚です。僕はVanguard VEO 2S CM-264TRというカーボンファイバー製の一脚を使っていますが、日本では見当たらないので類似品を載せます。

ワンタッチで補助脚に取り付け可能になったマルチファンクション一脚

絶対必須:折り畳み椅子

僕は試合の撮影は座って行います。足腰への負担の軽減もありますが、被写体に対する角度が座った位置からの方が望ましいからです。立って見下ろす形で撮るよりも、座って選手のへその辺りから撮った方が、バランスの取れた画になると思います。特に小さい子供の試合での差は大きいです。また、試合中に動き回るので軽量で折り畳みのできるキャンプ用の椅子を利用しています。これも僕が使用しているものは日本では購入できないので類似品を載せます。

絶対必須:レンズ レインコート

シアトルを中心としたアメリカ北西部は、秋から春先まで雨・小雨・霧が多い天候が続きます。Canon 5D Mark IIIと70-200mm F4の組み合わせで雨天でもカバーなしに撮影したこともありますが、多額の投資を保護すべきだろうと考えレンズ用のカバーを使うようになりました。また、プロの写真家と話す機会があり、聞いてみたところ自分がレインコートや傘を使う状況であればカメラとレンズもカバーするべきだと仰っていました。防滴・防塵加工がされたカメラ・レンズですが高額な投資ですので、良いものを使おうとLensCoat Raincoatを購入しました。スタンダードサイズですが70-200mm F4は余裕で、100-500mmを伸ばし切った状態でもしっかりとカバーしてくれます。

LensCoat RainCoat (メインスリーブ) は、カメラやレンズを雨、雪、塩のスプレー、汚れ、砂、埃などの要素から保護し、カメラやレンズのコントロールに簡単にアクセスできます。 軽量で防水性と通気性に優れています

あったら嬉しい:防水防寒、写真撮影用の手袋

基本的に僕は常に寒がりです。特に手足の指先が冷たいことが多く、冬、特に雨天が多いなかの撮影時は指先が痛くなるほど寒いです。防寒手袋、防水手袋を何種類か試したこともありますし、二枚重ねにしたこともありますが、最終的に行き着いたのはこの手袋。見た目は良くはありませんが、中は100%メリノウール。手首までしっかりとカバーしてくれ、防水。親指と人差し指の先だけ出すことも可能。素晴らしい逸品です。

毎日の冬の撮影のための多用途のどこにでも持ち運べる機能的でスタイリッシュな次世代カメラマングローブ。撥水加工が施された本物の山羊革。100%メリノウールの裏地。

まとめ

スポーツ写真は簡単ではないと思います。動く被写体にフォーカスを合わせ、構図を考え、動きを止めるスピードで撮る。楽ではないと思いますが、見返りが大きい写真だと思います。選手と保護者からの感謝の言葉と笑顔は嬉しいものです。まずは、しっかりと許可をとりカメラの設定をして撮ってみてください。僕が紹介した設定にはこだわりすぎることなく、ご自身が良いと思う設定を試してみてください。

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